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問題音とは

主なサンプル音声  キ ( サンプル音声1 )( サンプル音声2 )  シ ( サンプル音声 )  ジ、ヂ ( サンプル音声 )  チ ( サンプル音声 )  リ ( サンプル音声1 )( サンプル音声2 )  説明中、「レベル」とは音色の100点満点の評価です。70点以上が正常音の範囲。  「#」とは異常の程度です。1は違和感程度、2は異常な音、3は極めて異常な音。   元ページ

問題となる音

ア、イ、ウ、エ、オの5母音のうち、「イ」は他の母音に比べて特に鋭い感じに聴こえますが、それは高い周波数成分を多く含んでいるためです。 音を高い周波数で共鳴させるには共鳴腔の容積を小さくする必要があります。そこでイを発音するには顎を閉じ気味にし、なおかつ舌を盛り上げて口の中を狭くします。 舌を盛り上げるとは、舌を前後方向に寄せて舌の中盤を盛り上げることですが、そうするとその盛り上がりによって口腔は前後に分割される形になり、その二つの空間にそれぞれ起こる高めの共鳴が組み合わさって「イ」の音色として聴こえるのです。 日本語にはイ、キ、シ、チ、ニ、ヒ、ミ、リ、ギ、ジ、ビ、ピと、12個のイ段音がありますが、いずれも上に述べた母音イの舌構えに拘束された状態で発音を開始することになります。 イの舌構えのままそのまま発音するもの ⇒ イ、ヒ  〃 のまま唇を閉じてから発音するもの ⇒ ミ、ビ、ピ  〃 から、舌で呼気を細く絞って発音するもの ⇒  シ  〃 から、舌で呼気を多少なりとも止めてから発音するもの ⇒ キ、チ、ニ、リ、ギ、ジ この分類のうち、上2つはイの音色さえ聴きとれる状態に盛り上がっている舌であれば、その舌のまま発音しても、(正しくはないのですが)まず聴きとれる発音となります。 しかし、下の2つは正しく盛り上がった状態の舌でなければ正しい操作に移ることができませんから、結果として異常な音色の発音となってしまいます。 多くの人が訴えるイ段の問題とは、ほぼこの7つの音のものです。 続く 音調研東京発音教室

イ段の発音のお話

イ段の発音の問題とは、次のようなもののことです。  イ、キ、シ、チ、ニ、ヒ、ミ、リ、ギ、ジ、ビ、ピ、および拗音に現れます。  特にキ、シ、チ、ニ、リ、ギ、ジは明らかに異常な音色になります。  またケ、ゲなどのエ段に現れることもあります。  サ行全体、ザ行全体に現れることもあります。  舌の硬直と歪みによって起こるもので、正しい息の流れが阻害され、下顎がずれたり唇が左右に歪んだりします。  キはティ、チなどと聞き間違えられます。  シはヒと聞き間違えられます。  チはキと聞き間違えられます。  ニはギと聞き間違えられます。  リはギと聞き間違えられます。  サ行はシャ行、ヒャ行などと聞き間違えられます。  その他全般にきしみ音とか唾をはじくような音などとも表現されます。  イ列構音障害、側音化構音などとも言われます。 さて、もう30年以上も前の話です。最初は私の教室の当初の目的(アナウンサー等の発音改善)を半分誤解して尋ねて来られた一般の学生さんでした。 乾燥地の植生を勉強しているという国立大の学生さんでしたが、キの発音ができないというのです。 どうしてこの教室にきてしまったの?などと言いながら、せっかくだからと一応聴かせてもらうと、確かに奇妙な発音です。 口の中を見せてもらってびっくりしました。それまで見てきたたくさん人の舌の使い方とはまったく異なるのです。 何はともあれ、これでは全然いけないでしょう。こういう風にしてみましょうよと、本人には鏡を見てもらいながら指示をしてみると、勘のいい方だったのでしょう、すぐに正しい発音ができるようになりました。 私としては変な経験だけれどもごく普通の対応をしたつもりでした。ところがご本人がびっくりしてしまったらしいのです。これまでいろんなところで診てもらったがこんな風に実際に舌の使い方を習ったのは初めてだし、こんな風にすぐ治るものだとは思ってもみなかった、と言うのです。 このことがあって、しばらく後にこんどはシの発音ができないという人が来ました。 まもなく日本語教師としてインドネシアに赴任する予定という女性でしたが、発音に問題を抱えたまま赴任したくないというのです。 シの発音は口を開けたまま発音はできないので舌の観察は難しいのですが、口の中の息の流れ方には前のキの方のケースと似たものが