問題となる音

ア、イ、ウ、エ、オの5母音のうち、「イ」は他の母音に比べて特に鋭い感じに聴こえますが、それは高い周波数成分を多く含んでいるためです。
音を高い周波数で共鳴させるには共鳴腔の容積を小さくする必要があります。そこでイを発音するには顎を閉じ気味にし、なおかつ舌を盛り上げて口の中を狭くします。
舌を盛り上げるとは、舌を前後方向に寄せて舌の中盤を盛り上げることですが、そうするとその盛り上がりによって口腔は前後に分割される形になり、その二つの空間にそれぞれ起こる高めの共鳴が組み合わさって「イ」の音色として聴こえるのです。

日本語にはイ、キ、シ、チ、ニ、ヒ、ミ、リ、ギ、ジ、ビ、ピと、12個のイ段音がありますが、いずれも上に述べた母音イの舌構えに拘束された状態で発音を開始することになります。

イの舌構えのままそのまま発音するもの ⇒ イ、ヒ
 〃 のまま唇を閉じてから発音するもの ⇒ ミ、ビ、ピ
 〃 から、舌で呼気を細く絞って発音するもの ⇒  シ
 〃 から、舌で呼気を多少なりとも止めてから発音するもの ⇒ キ、チ、ニ、リ、ギ、ジ

この分類のうち、上2つはイの音色さえ聴きとれる状態に盛り上がっている舌であれば、その舌のまま発音しても、(正しくはないのですが)まず聴きとれる発音となります。
しかし、下の2つは正しく盛り上がった状態の舌でなければ正しい操作に移ることができませんから、結果として異常な音色の発音となってしまいます。
多くの人が訴えるイ段の問題とは、ほぼこの7つの音のものです。

続く

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